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新潟印刷月報
第84回 印刷・関連業懇談会開催さる

 印刷企業と関連企業との情報交換の場として、恒例となっている第84回印刷・関連業懇談会が9月1日(水)に新潟市のホテルオークラ新潟において開催され、印刷業界から堀理事長をはじめ32名が、また、関連業から32名の方が出席されました。(コロナ禍のため、県外者を除く)

 午後2時から開催した講演会には「組合企業の先進的な企業経営アドバイスセミナー」として、(株)天野印刷 常務取締役 天野堅次郎様と(有)めぐみ工房 代表取締役社長 丸山恵慈様のお二人から実践的な取組についてご講演を頂きました。

 講演終了後、印刷・関連業懇談会が野ア副理事長の司会で進められ、堀理事長の挨拶に続いて当組合の各委員長、部会長及び新世会長から今年度の活動状況について説明がありました。

 次に紙、印刷機械、インキ、プリプレス、印刷機材業界の5業種の代表の方から各業界の現状について説明が行われ質疑応答を行い午後4時50分佐藤副理事長の閉会の挨拶で終了となりました。

 その後懇親会場に席を移し堀理事長の挨拶に続いて洋紙懇話会の田村紙商事(株)の代表取締役社長 田村淑文様の乾杯で開宴、終始和やかなうちに午後6時30分へ閉会致しました。

1.開会のあいさつ

新潟県印刷工業組合/理事長 堀  一

 久しぶりにこうやって皆さんの前でお話しできるのは今年の1月6日以来なんです。

 特に関連業の皆さんとこうしてお話しができるということで、ワクワクして早く話したいと思ったのですが、マスクは外さないでほしいとか、飲み物を注ぎに回らないでほしいといわれておりますが、懇親会の時にお互いに一杯飲んで、そして返杯をしてというようなコミュニケーションをとれる時が早く来てほしいものです。

 また、いろいろと取りざたされましたオリンピックは、本当に素晴らしい感動を与えてくれました。閉会後に感染拡大という問題もありましたが、それよりも我々が頂いた感動に、コロナ感染云々という話しは置き換えられるものではありません。命は大事です。私も命は大事ですから、ちゃんとワクチン接種済みというバッヂをしていますが、2回接種済みで少しは安全かなと思っています。

 ただ、人に会えないんです。私も孫に会えていません。そして皆さんも、お盆が来ても東京に行った人や新潟を離れた肉親と会えないという状況に、なんとかもうひと頑張りで(いま新潟は特別警報が出ていますが)、いまも飲んじゃいけないとは書いてないんです。ですからここをしっかり乗り越えれば、何れはワクチン接種が進み、特効薬ができ、そして楽しい時間をみんなと共有できるようになることが私の今一番の望みです。

 そして、私が今一番感動しているのがパラリンピックで、中でもガイドランナー(伴走者)です。選手は金・銀・銅のメダルと表彰台に上がれるのです。ガイドランナーは一緒に上がれることはありません。そして選手は一律にインタビューで「私がこうしていられるのも、大会を開いて頂いたことであり、そして周りの多くの人に支えられたから」と話しています。これこそ感性だと思っています。

 話しは変わりますが、全印工連の会議は、ほぼ9割がZoom(ズーム)或いはオンラインです。それは視覚と聴覚しか使っていないんです。こんなことで本当の会話が伝わるでしょうか。やっぱり我々に五感を神様が与えてくれたことからしますと、視覚・聴覚・嗅覚・味覚そして私が一番大事にしている触覚を使い、皆さんと触れ合うことでコミュニケーションをしていくことが大事だと思っています。「理事長、夜だけじゃだめですよ」という声がちょっと聞こえてくるんですが、いってみればそれもコミュニケーションですから。

 かつて業界をあげての進化論に例えてお話しをさせて頂いているのですが、業界同士で例えば値段の高い安いで、仕事が彼方此方いったって少しも怖くありません。怖いのは、仕事が他業種にいってしまうことなんです。印刷業界に仕事が残っている間は、絶対にまた戻ってくるのです。ところが他産業に仕事が流出すると二度と帰ってきません。

 そこで、どういうことが一番大事なのかを考えた時に、業界が一番の味方なのだということを伝えています。時には一番怖いのは他産業なんですよというお話しをさせて頂いたことがございます。

 最後にひとつだけ聞いてください。

 それは、我々は組合としての使命を改めて考えますと、組合は基本的には先程のガイドランナーのようなものなのです。

 そして、組合として確実にやらなければならないことは、先ず情報提供をすることも含め、ある意味でシンクタンク(企業経営などに関する諸問題を考えるところ)であり、より良きアドバイザー(助言者)であります。次に組合としていろんなカタチで事業をやろうよということから、プランニング作業がひとつの柱なのです。そして最後は、みんなで一緒にやろうよという声掛け即ちリード機能という、これら3つの機能が組合として大切なものですが、組合は光ることがない(つまり、表彰台には上がらない)ものなのです。

 それよりも、皆さんこそがそれぞれの表彰台に上がってほしいというのが組合としての基本姿勢です。

 関連業の皆さんにとって、それぞれの交流の場があることは、組合にとっても最大なるチャンスと思います。

 そのため、今回からスタイルを変えて。どんどん、ここでアピールしてください。それが我々の次の仕事のヒントになります。次の一手としては非常に重要なことだと考えています。

 従って、いかに付加価値を発信できるか、それを世の中に問うて還元できるかがひとつのキーワードになるような気がします。

 それらを目指しながらも、コロナの終息を祈念しまして、冒頭のご挨拶に代えさせて頂きます。

 本日は大変有難うございました。

2.懇談
「紙業界」の現況について

 田村紙商事(株)

1.2020年の紙・板紙内需実績見込みについて(日本製紙連合会、1月20日発表資料参照)

 紙・板紙計の内需(国内出荷+輸入+在庫の増減)実績見込みは、2,294万トン(前年比90.4%)。そのうち、紙は、1,175万トン(前年比86.6%)、板紙は、1,119万トン(前年比94.9%)。国内出荷は、紙・板紙計で2,138万トン(前年比89.8%)、輸入は138万トン(対前年比80.2%)。紙・板紙の内需は、2011年以降マイナスで推移。

 コロナ禍の影響を受けた2020年は減少ペースが加速し、前年に対し9.6%減と、リーマン・ショック直後の2009年(9.2%減)を上回るマイナス幅。グラフィック用紙(印刷・情報用紙+新聞用紙)が大幅減となり、パッケージング用紙(包装用紙+段ボール原紙+紙器用板紙+雑種紙+その他の板紙)についても包装用紙や白板紙を中心に減少したことによる。

2.2021年の予測について(日本製紙連合会、1月20日発表資料参照)

 品種別試算結果を積み上げると、紙・板紙合計で2,302万トン、前年に対し0.4%増となる。用途別では、グラフィック用紙が0.8%減、パッケージング用紙が1.1%増、衛生用紙が1.0%増と予測。紙・板紙合計として、11年ぶりのプラスを見込むも、前年の落ち込みに比べ増加幅は小さく、前々年比では9.2%減にとどまる。

 また、過去のピークだった2000年(3,197万トン)に対しては、7割強の水準となる。デジタル化等の構造要因による下押し圧力は継続する。コロナ禍で2020年に極端に落ち込んだ商業印刷については反動増が見込まれるものの、不透明感も強い。一方、ネット通販等堅調な需要分野もある。コロナ禍は、衛生意識の高まりによるタオル用紙の需要増といったプラス面もある。また、脱プラスチックによる紙化の動きも期待される。

3.2021年7月の紙・板紙需給概況について(日本製紙連合会、8月23日発表資料参照)

 紙・板紙の国内出荷は前年同月比6.0%増、4ヶ月連続の増加。グラフィック用紙は6.7%増、4ヶ月連続の増加。パッケージング用紙は6.1%増、5ヶ月連続の増加。主要品種は新聞用紙を除き増加。紙・板紙の輸出は前年同月比35.5%増、19ヶ月連続の増加。グラフィック用紙は61.4%増、4ヶ月連続の増加。パッケージング用紙は29.8%増、20ヶ月連続の増加。グラフィック用紙は、塗工紙を中心に東アジア、南アジア向けが増加。

 パッケージング用紙は、包装用紙は減少も、段ボール原紙を中心に東南アジア、東アジア向けが増加。

4.今後の動向・課題等について

 製紙業ならびに紙流通業界は、引き続き厳しい局面を迎えており、国内市場の縮小傾向が続いていますが、コロナ禍においても、安定供給に努め、代替材としての紙の新たな需要創造や流通ルートの開拓が必要と思われます。新潟県印刷工業組合の皆様をはじめとして、関連業の方々と共に、地域社会に密着した活動を通じ、社会貢献に邁進していく所存ですので、今後とも変わらぬお引き立てを賜りたくお願い申し上げます。

ChinaPrint2021の成功とe-モビリティ分野での成長

 ハイデルベルグ・ジャパン株式会社

ChinaPrint2021 6月23日から27日まで北京で開催

  • 続く中国の需要回復
  • 新しいスピードマスターCX104を大量受注
  • 高い稼働率により上海での生産を拡大
  • オンサイトおよびオンラインによるお客様へのアプローが成功
  • 2017年と比べて来場者数は激減したが、売り上げは大幅に上回った
  • ライブプレゼンテーションへの参加者数は2017年から2倍の8,000人になる
  • 新しいスピードマスターCX104を500ユニット以上受注
  • 中国での売り上げは、2026年には3億ユーロから3億6千万ユーロになる見込み
  • 5日間の合計700分のライブストリーミングは40万人が参加し、300,000PVを記録

e-モビリティ分野の生産を拡大

  • 3つのウォールボックス生産ラインが24時間稼働
  • 年間20%を超える市場の成長
  • 過去2年間で既に50,000台以上を出荷
  • アマゾンや電気小売業者や卸売業者、多くのエネルギー供給業者、認定の電気業者から購入可能
インキ業界の現況について

 株式会社T&K TOKA

■インキ業界の現況について

 直近2020年の印刷インキ全体の出荷量としては34万トン(前年比89%)でした。版別に関しては、平版:7.7万トン(前年比78%)、樹脂凸版:2万トン(前年比92%)、金属:1.1万トン(前年比93%)、グラビア:14.5万トン(前年比97%)、その他:3.7万トン(前年比90%)、新聞:2.5万トン(前年比82%)でした。

 デジタル化に伴う紙媒体の構造不況に加え、2020年は新型コロナウイルス感染症感染拡大による大幅な経済活動の制限により、厳しい状況は続いております。

 私どもインキ業界を取り巻く環境は、先行き不透明な原材料動向並びに紙媒体の需要の影響を受け、今後更に厳しい状況が予測されますが、印刷業界の皆様のお役に立つよう更なる環境対応・安全衛生を遵守した製品の開発を行い、印刷物の価値向上のために取り組んでいく所存であります。

■バイオマスインキのご紹介

 印刷インキは化学製品のため、構成される要素の多くが石油由来の原料です。これを再生産可能な植物由来の原料へ置き換える事でバイオマスマーク認定を受けたインキがバイオマスインキです。このインキを使用することで、CO2の抑制、天然資源の枯渇化対策にもなり、昨今の潮流となっているSDGsのような「持続可能な循環型社会への貢献」にも繋がります。今後はバイオマスインキの性能を強化し、次世代インキとして皆様に広く貢献できるよう取り組んで参ります。

 今後とも一層のご支援を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

「富士フイルムが提唱するDX構想」説明概要

 富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)
 代読 FFGSグラフィックサプライ(株)

 新型コロナウイルスは企業業績に多大な影響を与えており、いわゆる7割経済を前提とした経営体制への転換が印刷業界においても急務の課題と捉えられています。

 かかる状況下、デジタル技術活用によるビジネスの変革=DXの必要性に対する認識は高まっているものの、ビジネスをどのように変革していくかの具体的方向性を模索している企業が多いのが現状と思われます。

 本日は、富士フイルムが提唱するDX構想についてお話しするとともに、組合員様のDX対応に関し、商業印刷・パッケージ印刷中心に広範な顧客基盤を有する富士フイルムグローバルグラフィックシステムズと、デジタル印刷技術に強みを持つ富士フイルムビジネスイノベーションの技術・製品力を組み合わせ、アナログからデジタルを共存させた最適生産環境構築の側面からの支援をご提案させて頂きます。

印刷機材業界の動向等と自社製品のPR

 セキモト株式会社

 平素は印刷機材関連各社に対しまして格別のご厚情を賜り誠にありがとうございます。厚く御礼申し上げます。

 下のグラフは経済産業省から出ています2015年から2020年までの印刷関連の生産統計の金額をグラフに表したものです。下の棒グラフが機械種類別で左からオフセット・フレキソ・グラビアなどの印刷機械類、隣がCTPなどの製版機械、その隣が製本機械そして右端が段ボールの製造機や抜き・貼りなどの紙工機械になります。上の折れ線グラフはその合計金額を表しています。2020年の合計金額は1429億で2015年に対し30%以上少なくなっています。機械別で見ますと紙工機械だけは2015年から約20%増加しています。輸出も2019年から2020年で大きく下がり2020年は998億で2015年に対し約40%下がりました。輸入統計は合計金額が2020年には387億となり2015年に対し約23%ダウンとなっています。今年の1月〜6月までの輸入の合計金額は2020年の同時期と比較して84.5%と下がっていますが輸出額は121%と上がっております。輸出国の割合は中国が21%、欧州19%、アメリカ16%、インド10%、韓国、台湾となってその他が22%となっています。輸入国は欧州、ドイツ、スイス、英国4つ合計で66%となります。次いで中国17%アメリカ3%その他14%という割合となっています。

 次に自社の取り扱い製品ということですが今回は弊社では中古機械の買取を強化していることをPRさせて頂きたいと思います。弊社は1966年に東堀で創業し当時は活字の鋳造、販売が中心の製造業でした。その後1984年に第一印刷所 堀社長のお父様堀申二前社長から弊社の創業者である私の祖父にお声がけしていただき現在のあけぼの印刷団地に移転しました。そのころが活版印刷からオフセット印刷に変わっていく時で弊社も印刷関連機材の卸売業をメインとしてでホリゾン、正栄機械、ウチダテクノ、永井機械、工藤鉄工所などの製本後加工機の機械販売、アフターメンテナンス、活版印刷やオフセット印刷の資材販売を中心に営業してまいりました。そして20年以上前に古物商の許可を取り印刷機や製本機の買取り、販売も主な業務としています。中古機械の買取りは新台の販売とは違い、例えば新しい印刷機械を代理店から購入する際同じ機種であればどこの会社から見積もりを取り寄せても大きく価格は変わらないと思います。どこの会社から買うかはお付き合いの深さやメンテナンスがしっかりいているかなどが決め手となってくると思います。一方で中古機械の買取りの場合はお付き合いの具合は関係あると思いますが、メンテナンスがしっかりしているかどうかは関係がありません。価格が一番重要になってくると思います。その買取り価格は世界各地にいる中古機械業者の買取価格で決まります。各国で経済状況、政治状況、コロナの感染状況も違います。今現在はコロナ禍でも景気が良い中国の業者が買い取ることがほとんどのようです。中古機械は売るのも買うのもタイミングですのでどのような価格になるかはその時々によってかなり違いがあります。例として印刷機械の買取り価格で他社が500万だったのに対して弊社買取り価格の見積もりが800万のときがありました。もちろんその逆で弊社の買取り価格が低い時もあります。各社で所有されている機械を売りたいときには、また新しい機械の入れ替えで下取りに出そうとご検討の際は少しでも良い価格を提示できる様がんばりますので是非弊社にもお声掛けください。何卒宜しくお願い申し上げます。

 最後にホリゾンの展示会のご案内をさせて頂きます。10月18日(月)〜22日(金)までホリゾンイノベーションパークにて「ホリゾンスマートファクトリー2021」が開催されます。オンデマンドプリンターと製本機がインラインで繋がり自動化、省力化ができる最新のマシン等が印刷機、プリンターメーカー様の協力を得て多数出展され、またセミナーも開催されます。オンライン配信もあり大変興味深い物となっておりますので宜しくお願いします。

◆9月定例役員会議事録

 理事長から、いよいよ9月です。8月上旬は猛暑続きでしたが、お盆の時は傘をさしてのお墓参でした。8月は完全にオリンピック一色でした。今もパラリンピックを行っていますが、スポーツは感動を与えてくれます。

 印刷工業組合は、パラリンピックの誘導役でけして表彰台に上がるという事はありませんが、いい意味でのサポートであり、色んなことを計画したり実行に移したり誘導する役がまさに組合です。皆様のおかげで支えられて成りたっていることに改めて感じております。

 9月おいてもイベントは中止というお知らせがあります。10月に予定していた長野の文化典が正式に中止となり、県境を越えるようなものは全て中止になりました。

 今日は久々のイベントで、前に3回中止にしています。コロナ対策・感染予防を十分に配慮し、皆様と久しぶりに顔を合わせる事に感謝し、ご協力を宜しくお願い致します。

 とあいさつがあり、その後事務局から講演会、関連業懇談会の日程等の説明を行い13時50分閉会した。


◆ 組合運営の動き(令和3年9月1日以降)