印刷企業と関連業種企業との情報交換の場として恒例の第86回印刷・関連業懇談会が9月1日(金)に新潟市のホテルオークラ新潟にて開催され、印刷業界から遠山理事長をはじめ28名が、また関連業界から41名の方が出席されました。
午後2時から開催された講演会では「印刷業向け経営情報管理システム「BRAIN」の紹介」と題して、東印工組において開発・導入の先導的役割を果たしている青樹印刷椛纒\取締役の青木充様と開発ベンダーである三谷産業渇ロ長の松本拓士様から、中小企業向けのクラウド型MISである「BRAIN」のメリットや機能、導入コストなどについてご講演いただきました。
講演会終了後には、印刷・関連業懇談会が開催され、遠山理事長の挨拶に続いて当組合の各委員長、部会長及び新世会長から今年度の活動状況について説明がありました。また、紙・インキ・プリプレス・印刷機材の4業種の代表の方から各業界の動向等について説明が行われ、質疑応答の後午後5時10分に佐藤副理事長のお礼の言葉で終了となりました。
その後は懇親会場に席を移し、遠山理事長の挨拶に続いて洋紙懇話会会長である鞄c村商店代表取締役社長の田村和仁様の乾杯で開宴、一同和やかに親交を深め、午後6時30分に閉会となりました。
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講演会風景 |
関連業懇談会風景 |
1.開会のあいさつ
新潟県印刷工業組合/理事長 遠山 亮
本日はお忙しい中、皆さんお集まりいただきありがとうございます。当組合を代表して、一言ご挨拶をさせていただきます。
まず、新潟県印刷工業組合の日ごろの活動にご協力いただき本当にありがとうございます。皆様のおかげで組合員一同日々活動できていると認識しております。今後ともよろしくお願いいたします。
本日の講演会では講師のお二人に凄くいいお話をしていただき、ありがとうございます。今年5月開催の総会では、新潟県印刷工業組合として取り組まなければならないこと、業界として取り組まなければならない課題がいろいろあるという話をさせていただきましたが、その中にDX・デジタル化の推進も挙げさせていただきました。今日の講演会ではBRAINすなわち東印工組が提供するクラウド型MISと、全印工連が推進しているDX-PLAT、DXを活用した事業間の共同購買・連携の仕組という内容で講演をしていただきました。
コロナ前とコロナ後では世の中が大きく変わっています。コロナ前にあった今までの文化や制度、そういったものはもう元には戻らないと私は理解していますし、皆さんも同じ意見なんじゃないかと思っています。コロナの中で変わったものはたくさんあり、コロナ後になっても元に戻らない。言葉としては「コロナ前はこうだったよね」と言わなくてはいけないと捉えています。これは昔インターネットが出回った時も、「昔はこうだったよね」ではなくて「インターネットの前はこうだったけど今はこうだよね」と。ある出来事をきっかけに過去の経験が通用しないものになる。そういった中で業務をいかに変えていくか。BRAINを導入する、DX-PLATを導入する、それはあくまで手段であって、目的はデジタルを使ってどうやって業務を変えていくか、我々の業界並びにそれぞれの個社の環境を良くしていくかというところがポイントだと思っています。
今日はこれから当組合の活動の内容並びに業界の状況について情報交換をさせていただく場を用意しています。そういった情報もインプットしながら、これから組合員・関連業の皆さんと共に手を取り合い情報共有しながら、更に全印工連並びに各県工組とも連携・情報共有しながら、年末・年度末に向けて進めていける、その良き機会にしていただけたらと思っています。是非ともたくさんインプットしていただき、この後の懇親会で更に親交を深めていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
2.懇談
印刷関連業界による業界の動向等と自社製品のPR
紙業界の現況
株式会社石井商店
日頃は新潟県洋紙懇話会4社がお世話になり厚く御礼申し上げます。
本年初頭の日本製紙連合会作成の2023紙、板紙内需見通しはウィズコロナによる経済活動の正常化 インバウンド需要の回復等増加要因と 人口減少 少子高齢化 情報公告分野でのデジタル化の加速 包装様式の変化など減少要因とが挙げられていました。
内容は2023年昨年対比見通しで紙計 5.0%マイナス 板紙計 0.1%マイナス予測です。紙ではグラフィック用紙が-7.4%と減少幅が大きい見通しとなっています。これに対し本年7月までの払出数字は配布の表のとおりでありますが、実感としてはかなり出荷減少の程度が早すぎる、といった印象を受けます。
令和5年7月までの前年対比発表実績では印刷用紙A90.4%、上質コート89.9%、軽量コート88.2%、微塗工紙91.5% で昨年から連続した価格修正のための対処として数量減少がなされたと考えられますが、併せて、回復はするもののデジタル移行や簡易包装変更などの結果となっていると考えられます。紙の使用量は製紙連合会発表の内需見通しのまま進むのではないかと考えられます。
在庫率でみますと令和5年春より徐々に増加傾向がうかがえます。使用量の減少が早く在庫率の上昇という結果に表れており今後の推移が注目されます。石油、木材原料上昇に加え今後は使用量の減少予測に対しての操業コストの相対的上昇をどう乗り切るかが紙業界の大きな課題になっております。今後も皆様にお役に立てる情報なども日常の活動に反映させ新しい環境に向かってまいります。今後とも新潟県洋紙懇話会を宜しくお願い申し上げます。
インキ業界の現況
DICグラフィックス(株)
平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
インキ各種別について出荷数量のトレンドをご説明致します。
・平版インキ:2022年出荷量 73,157d(前年比96%)
チラシ・出版の需要が減少、またデジタル化による影響も考えられます。
直近の数年におきましては、コロナ禍による経済活動の落ち込みによる影響がございます。
・グラビアインキ:2022年出荷量は152,981d(前年比101%)
軟包装向け用途の需要が安定しており、概ね横ばいで推移しております。
・新聞インキ:2022年出荷量21,657d(前年比94%)
発行部数減、掲載広告の減少による頁減の影響があり、夕刊休刊の要因も含まれます。
・その他インキ:2022年出荷量37,860d(前年比96%)
スクリーン・凸版インキ、UVインキが含まれます。
次に、弊社製品をご紹介致します。
・一つ目に、紙パッケージ用外面コーティング剤「ハイドバー」をご紹介致します。
耐水性、耐油性を有する水性ニスであり、特に耐水性に優れ、水蒸気バリア性があります。使用用途例として、紙製バック、梱包用ダンボール、紙エプロン、紙コースタが有り、耐水紙の代替での効果が想定されます。
・二つ目に、LED−UV対応高感度UVインキの新製品、「HR600」をご紹介致します。
UVインキのテーマである硬化性向上とともに、水幅を広げることで本品を上市しました。
耐網点太り、耐紙剥けに優れ、従来品に比べ、特に水を上げた状態でも比較的濃度が落ちにくく、安定して印刷できるように設計しています。
インキメーカーとして、安定供給および付加価値を備えた製品の提供に努めてまいります。引き続き弊社製品ご愛顧いただきますよう宜しくお願い申し上げます。
プリプレス業界の現況
富士フイルムグループがご支援する生産環境の最適化「スマートファクトリー」の実現
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン(株)
印刷業界は今「人材不足」「小ロット・多品種対応」「稼働率低下」といった課題への取り組みに迫られています。富士フイルムグループは印刷物の生産における「人」・「工程」・「設備」に関する情報をシームレスにつなぎ、それぞれの観点から生産環境の最適化をご支援します。
@『人』にもたらす効果
Before
- 各工程/設備に担当者が張り付く専任配置が前提で、生産状況に応じた柔軟な人員配置が難しい
- 段取りに時間と技能を要し、熟練技術者へ依存している
After
- 機械/システムとの協働により、従業員の業務を適正化
- ワークフローやRPAの活用により作業標準化を進め、スキルレスで特定の人に依存しない生産環境を実現
A『工程』にもたらす効果
Before
- 生産状況や進捗状況が可視化されていないため、他工程の状況が分かりにくく、滞留が生じやすい
- 人を介在する作業が多いため、データの取得が難しく、科学的に改善ポイントを見出すことが難しい
After
- 工程のデジタル化・自動化によりデータを取得。分析・シミュレーションにより、全体最適の観点で改善ポイントを科学的に発見
- モニタリング・解析を続けることで、無駄や滞留を可視化し、継続的な工程改善活動を可能に
B『設備』にもたらす効果
Before
- 小ロット多品種生産のニーズが高まり、稼働率向上につながると考え増強してきた設備が過剰となった
- 印刷、後処理工程の設備のバランスが悪く、設備使用待ちの滞留が生まれている
After
- データ/生産マネジメントと連携することで各設備の負荷を可視化し、予防保全によるダウンタイムの短縮と品質向上に貢献
- 工場全体の可動率向上という観点で遊休設備の見直し、最適生産を実現
印刷機材業界の現況
ホリゾンが考えるスマートファクトリーとは
ホリゾン・ジャパン(株)
ホリゾンでは、製本加工機そのものだけで物事を考えず、工場全体を通したスマートファクトリーをご提案します。
人材不足、人件費の高騰が叫ばれている昨今、共同ロボットや自動搬送車AGVの活用は近い未来では避けて通れない道になるかもしれません。
そこでロボットアームへの作業シフト、という視点でお話させていただきます。
まず、ロボットを導入して考えられる効果としてはロボットへ仕事を任せることにより、省人化、省力化への期待ができます。人件費の高騰という側面に目を向ければ、単純作業はロボットに任せて、人はより付加価値の高い仕事に従事できます。
そしてロボットの活用は作業の肩代わりというだけではなく、職場環境の改善という側面もあります。
全国労働安全衛生センター連絡会議調べでは、いわゆる職業病と呼ばれる業務上疾病の中でぎっくり腰の割合は約70%です。重労働の負担を軽減することで、労災リスクを減らす取り組みとして検討いただければと思います。
ホリゾンでは印刷の後加工だけではなく、印刷、さらに上流のデータづくり、生産管理システムから、下流の梱包出荷の分野までをトータルでご提案していきたいと考えています。